さとらないの日々

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四象医学を漢方的に解説すると

 私、先週から糖質ダイエットを始めたのよ。

 ホモサピエンスの10万年歴史の中で、でんぷん質で栄養を取るようになってから2000年(弥生時代ぐらいから)ぐらいしかたっていないので、でんぷん質や糖質をカットすることで、コレステロールの生成を抑え(糖質があがるとインシュリンが余分な糖をコレステロールにしてしまう)、ダイエットするというわけです。私は縄文の妖怪ですから、これに飛びついたのですが、一週間たってもぜんぜん痩せません。

「なんじゃこりゃぁ~」

やっぱ、焼肉とお酒をやめるべきかなぁ(過剰カロリーのかたまり)。

というわけでもないんだけど、今回は韓医学四象医学を取り上げます。

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四象医学(韓医学)を漢方的に使ってみよう
 体質論(先天的な体質の違いによる特徴と治療原則)の諸説の記述は「黄帝内経・霊枢」に多く見ることができる。『霊枢・陰陽二十五人篇』では、陰陽五行学説及び五色、五音によって二十五種類の人の特徴を述べ、それぞれの肌の色や体型・性格及び時令による適応力の差位を述べている。そして『逆順肥痩篇』では、人体の肥痩、年齢の高低、肌の白黒、体質の強弱に対する治療原則の違いを、『通天論』では、太陽に属す人・少陽に属す人・太陰に属す人・少陰に属す人・陰陽和平に属す人に分類し、それぞれの属性の人の意識や性格上の特徴を示し、その人に適した治療の原則を述べている。

 しかしまだ系統的な体質の分類のなかで、疾病と治療方法などの具体的な体質学説の体系的形成までには至っておらず、体質論と呼べるほどの理論体系が(中医学では)まだ未整理であると、「中医体質学入門」の著者、王埼・成増秀らは言っている。

 伝統医学としての視野を(中医学に限らず)大きく広げてみると、体系的体質論としての潮流を東医学の中で2つの大きな潮流をみることができる。一つには、日本の「一貫堂医学」である。森道伯・矢数格らの一貫堂医学では、現代人の体質を、瘀血証体質・臓毒証体質・解毒証体質の三種類に分別し、それぞれの疾病に対しての方剤をあげ、かなりの効果を上げている。そしてもうひとつには、韓医学中の四象医学である。そんなわけで、今回は『四象医学』を取り上げたい。(東医寿世保元より)

 四象医学は、イ・ジェマという天才が打ち立てた理論だが、霊枢の通天論の太陽・少陽・太陰・少陰の分類と同じく、人の先天的体質を、太陽人・少陽人・太陰人・少陰人の4つに分類した。さらに上半身が発達して下半身が未発達な逆三角形の骨格(▽)をもつ人を『陽人(太陽・少陽)』とし(上実下虚証)、上半身が未発達で下半身が発達している骨格(△)を持つ人を『陰人(太陰・少陰)』(上虚下実証)にわけ、その中で骨が太くガタイがいいものを太陽人・太陰人に、少し細めの人を少陽人・少陰人に分けた。

 また臓腑の位置が、上焦に肺・心、中焦の上に脾、中焦の下に肝、下焦に腎がある(東医寿世保元・臓腑論より)ところから、太陽人は上半身が発達しているので肺が強く下半身が弱いので肝が弱いとし、少陽人は脾が強く腎が弱い、太陰人は肺が弱く肝が強い、少陰人は脾が弱く腎が強いという、骨格の発達から生まれつきの臓腑の強弱を指摘した。さらに精神が肉体に影響し、肉体が精神に影響するという考えから、感情の「太陽人=怒>哀・少陽人=哀>怒、太陰人=楽>喜、少陰人=喜>楽」などが各タイプの体に影響を及ぼすと唱えた。

 太陽人や少陽人は上実下虚証なので、腸や腎が弱く二便の出が悪くなりやすく、また生体の熱が二便から排泄されにくいので、体に熱状がこもり溜りやすくなる。漢方での感情は、気の動きであり、生体の代謝に影響を及ぼし、身体の行動を起こさせるが、熱がたまりやすくなると感情の表出が激化する(興奮しやすい)。また太陽人は肝が弱いので疏泄失調という形で停滞を起こしやすい体質なので、昜怒になりやすく興奮が激化しやすい。さらに気を消す『哀』という感情も、溜まった熱や怒のエネルギーも多いので、哀しむ様子もかなりオーバーに見える。

 さらに『楽』であるが「逍遥(のびやかさ)で心地良い感じ」という意味である。太陰人は肝が強いので疏泄作用も強く、体やココロの逍遥(のびやかさ)の強さを基本的に備えている。だから楽しいことが好きだし、動きたがらないものぐさでもある。あまり楽や喜を求めすぎると、経絡の流れが悪くなり気血の停滞を起こし、肺が弱いので百脈を朝する力も弱く、感情の表出も少なくなり、悪くすると感情障害(うつなど)を引き起こす原因ともなる。太陰人は上虚下実証なので、汗をかくことで肺の働きを助ける。(たまに多汗症で相談に来る人もあるが、太陰人の方には「汗は体の弱いところを補っているのだから、汗を恥ずかしいもの、悪者としないで、有益なものとして考えてほしい」と言っている)

 太陽人や少陽人のような上実下虚証は、熱がこもっているので「怒」や「哀」だけではなく、他の感情の表出も起こりやすく、熱をためやすく、また皮膚や粘膜に炎症を起こしやすいので、皮膚疾患やアレルギー性疾患になりやすい傾向がある。ただ太陽人だけは、溜め込む熱がかなり多く、難病になりやすい。しかし太陽人は人口の0.1%未満しかいないので、日常はほとんど見かけない。ちなみに少陽人は人口の30%、太陰人は40%、少陰人は30%である。 

少陽人と太陰人と少陰人
 少陽人は、上半身が発達して、がっしりした感じでしっかりしているが、下半身は足も細くお尻も小さい。感情表現も豊かで判断力や決断も早いが、せっかちで慌て者。つまらないことでも興奮しやすく感情がコロコロ変わるが、正直であけすけ。熱がこもりやすいのでアトピーになりやすく、また腎が弱いので膀胱炎・腰痛・不妊症になりやすい。漢方薬を長期的に温性薬を使うときは、途中に炎症の有無を確かめながら服用してもらう注意が必要(特に少陰人タイプの少陽人に注意)。一貫堂の解毒証体質の処方(温清飲加減)を使うのもこの体質に多く、かなりの難病も一貫堂処方で劇的に効くことも多い。

 つぎに太陰人(上虚下実証)は、心肺機能が弱いのだが、食べる消化吸収能力が他の体質に比べて突出して強い。たいていの食べ物は美味しく食べるので、背も高く上半身は筋肉質ではないが胸板は厚く(上虚)、腰つきがよくお尻も大きくどっしりしている(下実)。性格も肝が強いので逍遥(のびやか)で楽しいことを好むが、プレッシャーやストレス(疏泄失調)にとても弱い(俗に言う「ビビリ」)。心肺機能が弱いのだが、もともと汗っかきなので、汗をかくことで水分代謝や経絡の流れを助けている。肺には感覚や感情の動きを助ける『魄』という神があるが、魄が弱いので、感情を出すことが下手で、冷静に慎重に物事を進めようとする(石橋を叩く)。そこが過度になると完璧主義や執着による苦労が多くなる。

 太陰人は食欲があり胃熱を持つことが多く、大黄もよく効くタイプなので、一貫堂の臓毒証体質の防風通聖散がよく効く体質でもある(このタイプで防風通聖散を使い1ヶ月で5kg痩せ、すこぶる体調が良くなったという経験多々あり)また発汗が怖くないので、傷寒の場合、麻黄湯系の処方でしっかり発汗解表する方が効果的。表寒裏熱証になりやすいので、弁証の時は「表裏双解剤」も頭の隅においておくとよい。

 つぎに少陰人(上虚下実証・脾弱・腎強)。イ・ジェマは「傷寒論は少陰人のためのに書かれた」というぐらい基本的に寒証である。上半身は未発達で痩せていてお腹や腰も細めだが、下半身のお尻の肉付きはよい。性格もおとなしめで自己主張が苦手。従順で人との争いを嫌う(気が少なく争うパワーが少ない)。また些細な事で深く傷つく繊細さをもつ。脾が弱いので、食は細く、「食」への執着は少ない。心肺機能が弱いが、少陰人は汗をかくと気虚を起こしやすく疲れるので、散歩や体操で全身を動かすのが良い。陽気が少なく太陽を浴びたり風呂などで体を温めるのが有効。少陰人のベストコンディションは「脾胃が落ちていないで、食べ物がしっかり消化できている」こと。日頃から胃腸を補う六君子湯補中益気湯なども常用するとよい。体を温める精力剤や強壮剤は少陰人にこそよく効く。傷寒のときは、どちらかといえば桂枝湯系を使う。

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 先週かな、日刊スポーツの「いまさら聞けないセックス講座」というコロムで、この「四象医学で、体質別精力増強」みたいな記事がでたのよ(誰も見ていないと思ったから取材受けたんだけどさ)。それをたまたま家で取って見てた人がいて、「ぶぶぶさんは、実はセックスの大御所だったんですねぇ。私は一度も教えを受けたことがなかったですが(笑)」って言われて、「本当は、私、下のほうは弱いのよ」って言ったんだ。

 日刊スポーツから掲載の新聞が(5回シリーズだった)どかっと送られてきて、それを見た息子が、「もう少し誇れるような記事の取材をしてほしい」というんだ。
 いままでいっぱい誇れるような取材受けてるんだけどなぁ。

 でも、下の話しはキライじゃないよ(笑)。